NEXT STAGE
影となるもの光となれ。さぁ、行こう。焼酎新時代の幕が開ける
焼酎は、世界のスタンダードを目指せる。
私たちがそう確信できるようになったのは、焼酎の歴史を振り返り、解釈することがきっかけでした。
芋焼酎造りに欠かせない要素に、発酵技術としての「麹」「酵母」、原料の「芋」、そして成分を分離・濃縮する「蒸留」があります。
「麹」「酵母」と「芋」については、古くから現在に至るまで、幾度となく焦点をあてられてきました。
対して、ヨーロッパから伝わった「蒸留」に関しては、なかなか目を向けられることはありませんでした。
ある時代には、どんな麹を造っても、どんな芋を使っても、蒸留をすればみな同じとまで考える人もいました。
でも、私たちは気づきました。
「蒸留」を追求することでこそ、これまでになかった焼酎の酒質を見出せる、と。
だから私たちは、真摯に掘り下げていきます。
酒質の幅を広げる、新しい「蒸留」の扉を開けたいと願っています。
世界屈指の蒸留機「アーノルド・ホルスタイン」をオーダーメイドする
蒸留酒造りに欠かせない蒸留機。
ドイツの蒸留機メーカー「アーノルド・ホルスタイン」は、造り手ごとに蒸留機をオーダーメイドしています。
フルーツ・ブランデーをはじめ、ジンやウォッカ、ウイスキーなど、蒸留酒であれば何にでも対応し、
最高級の蒸留酒を製造するための高品質な製品を生み出しています。
そこには、100年以上の歴史を受け継いだ技術と、酒の造り手に寄り添う想いがあります。
私たちは、彼らが手がける蒸留機を2008年に購入しました。焼酎造りでは「直接蒸留」が当然だったところに、「間接蒸留」の手法を取り込みました。
その蒸留機で造る芋焼酎は、もろみの香りがダイレクトに出て、
驚きと感動を与える味わいに。「蒸留機の違いで、新しい焼酎ができる」と実感できる仕上がりとなったのです。
ヨーロッパに伝わる歴史と文化と技術を咀嚼して、
私たちは焼酎のこれからに繋げていきたいと思っています。
高品質を保つ樽屋「アラリー」のフレンチオーク樽で寝かせる
どんな樽で、何年寝かせるか。
蒸留酒造りの大事な仕上げに、「熟成」があります。
洋酒においてはあたり前の考えを、私たちは芋焼酎造りに取り込もうとしています。
2007年、私たちはかけがえのない樽を求めて、フランス・コニャック地方にある樽屋「アラリー」を訪ねました。
彼らが手がけるのは、「キング・オブ・フォレスト(森の王様)」と称される、オークの樽。
その中でも「リムーザン・オーク」と呼ばれる、フランスの極めて良質な樹を厳選しています。この樽はブランデー造りに最適で、
新樽から中古樽へと移し替えながら、酒を育てていきます。
高品質の樽で寝かせることで、甘みと風味が増し、より完成度の高い蒸留酒へと変化していくのです。私たちは「アラリー」の樽を譲ってもらい、
まさに今、その樽で芋焼酎を貯蔵熟成させています。「いい酒を入れるから、いい中古樽になる」というアラリー氏の考えのもと、
芋焼酎を寝かせながら「樽を育てる」という哲学を教えてもらいました。
最高峰の造り手「ジャン・ポール・メッテ」と出会い、焼酎の可能性を識る
「三ツ星レストランには不可欠な逸品」と評され、フランスで絶大な名声を確立している、
世界最高峰のフルーツ・ブランデーの造り手「ジャン・ポール・メッテ」。
2005年、私たちは初めて彼らの元を訪ねました。
焼酎を「蒸留酒の一種」という角度から見つめ、ヨーロッパで永きにわたって培われてきた技術と文化を識るためです。
彼らは、世界一の造り手というプライドを持って、
私たちに“蒸留屋”としての知識や哲学を伝えてくれたうえ、大切な技術も惜しげなく教えてくれました。
蒸留酒の真髄をもっと吸収したい。
それを焼酎の未来に繋げていきたい。
ジャン・ポール・メッテとの出会いによって、蒸留酒造りの根底に流れる“思い”に気づき、
これまでにない視点で、蒸留酒としての焼酎を見つめなおせるようになったのです。
「もっと焼酎を楽しんでいただきたい」という思いが、蔵人をかき立てる
最高の芋を届けてくれる農家さんを見つけ、良質な米を探してきました。
麹・酵母にもこだわり、そのこだわりが強すぎて、大変な覚悟のもと新たな蔵「赤屋根」を建てるまでに至りました。
ここで汗を流す蔵人たちをかき立てるのは、「焼酎をもっと楽しんでいただきたい」というただ一つの思い。
その思いをかなえるために、蔵人一丸となり、技術や知識を高めあい、日々焼酎造りに取り組んでいます。
「蒸留すればみな同じ」というひと昔の考えから、「蒸留こそが酒質の幅を広げる」と見識が変わってきたように、
時代や見る角度によって“正しさ”は変わります。今、蔵人たちを夢中にさせるのは、ヨーロッパで学んできた次なるステップ。
でき上がった焼酎を口にしていただき、蔵人たちの思いを感じ取っていただけたなら、それほどうれしいことはありません。
新たな刺激を焼酎造りに。NEXT STAGEがはじまる
私たちは、10年以上の月日をかけてヨーロッパにおける蒸留文化を学んできました。そこで、こんな考えにいたりました。
私たち日本人のよさとは、勤勉さや手先の器用さだけではありません。
謙虚に、真摯に、新しい技術や考えを受け入れ、
よりよいものを生み出そうと勉強し、
目標に向かって努力を重ねていく粘り強さこそが本当の武器なのではないかと。
ヨーロッパにおける蒸留酒造りの哲学、私たちの創造性をかきたてる蒸留機、さらなる風味の可能性を追求できる熟成樽。
私たち蔵人は真似事ではなく、これらを自らの“芯”に取り入れて、
私たちの焼酎造りに生かしていきます。
ここにいる蔵人たちが新しい刺激を受け、咀嚼して吸収し、自分たちの焼酎に命を吹き込む。
そこから、焼酎のNEXT STAGEがはじまります。